「A歯科で作った冠は、20年以上何ともない。B歯科で作った冠は2年で外れた。B歯科はダメだ。」というお声をきいたことがあります。
そう思うのは無理もないですが・・・。
取れたら、その冠を持ってB歯科に持って行って再装着してもらって下さい。
外れた原因は、多くの場合そこに強い嚙みしめ圧がかかっていたからです。
そのことをふまえてもう一度、咬み合わせを考えてもらう良い機会です。
外れなければ強い嚙みしめ圧がかかり続けて、いずれ歯が揺れてきたかもしれません。
揺れて歯を失うことを考えれば、外れてラッキーだったかもしれません。
A歯科で作った冠は、少し低い(全くかみ合わせに参加していない)から、20年以上何ともないのでは?
その歯が遊んでいるから他の歯が大変なのでは?
実際に、「少し低めに作れば、患者もすぐ慣れるし、少なくともその歯のトラブルは起きにくいよ。」との“助言”を昔、先輩からもらったことがあります。
遊んでいる(負荷のかからない)歯が長持ちするのは当然ですが、その歯が遊んでいる分、他の歯の負担が増えて弱っていくのです。それでいいのでしょうか?
セットして3日~5日ほど経って、異物感が消えないなら、微調整にその歯科医院に行くべきです。(当院では、その旨を必ずお伝えしています。)
無論、取れたら再度付ければいいのです。
その際咬み合わせのチェックをする良い機会です。
少し、低めに付ければいいとかの問題ではありません。圧が他の歯にかかるだけです。
「取れた」原因は、そこに夜の強い嚙みしめ圧が掛かっているのです。
ろくに当たっていないものが取れはしません。
取れなければ、その強い嚙みしめ圧のため何年か後にその歯が弱って揺れていくかもしれません。歯がなくなる最大の要因は「揺れる」です。虫歯ではありません。
夜の大きなズレのある嚙みしめ圧の分散(お神輿をみんなでバランス良くかつぐ。)は、なかなか難しいので、咬み合わせを良くするためには、少し高めに入れて様子を見て慣れなければ少し削って下げていくしかありません。人によってこの“段々馴染む”程度が違います。一般に顎がズレやすい方向の奥歯を少々高くして、少しそちらにずれにくいようにしますが、大変微妙です。
歯にかぶせて「すぐなれる。」のは少し低いか、以前の歯の当たり・バランスそのままで、改善されていないのです。
当院の咬みあわせの考え方は、こちらのページもぜひ参照ください。